紛争ダイヤモンドとキンバリープロセス

紛争ダイヤモンドとキンバリープロセス

血塗られたダイヤモンド

「紛争ダイヤモンド」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?「コンフリクトダイヤモンド」や「血塗られたダイヤモンド」といった名前で呼ばれることもあります。

 

「紛争ダイヤモンド」とは、「販売の収益が紛争・テロ・組織犯罪の資金源となるダイヤモンド」のことを指します。紛争ダイヤモンドは、1990年代にアフリカ各国で起こった内戦世界的により世界的な注目を浴びる問題となりました。

 

とくに有名なのが、7万5千人以上の死者を出したシエラレオネ内戦です。1991年から2002年まで続いたシエラレオネ内戦では、政府と対立するRUF(革命統一戦線)がダイヤモンド鉱山を掌握し、そのダイヤモンドの輸出で得た収益を紛争資金としました。その結果、紛争は長期化・泥沼化したと言われています。

 

またRUFは、兵士として少年少女を採用したり(少年兵)、住民の手足を切り落とすなどの残虐行為を行ったこともあり、シエラレオネの紛争ダイヤモンドの問題は一気に世界へと知れ渡りました。


90年代後半、シエラレオネ以外にもリベリア、アンゴラ、コンゴ民主共和国などが内戦の最中にあり、当時世界に流通するダイヤの少なくとも約4%が紛争ダイヤモンドだったというデータがあります。

 

そうした状況を打開するため、宝飾業界関係者が話し合い作られたのがキンバリープロセス認証制度(Kimberley Process Certification Scheme)です。

 

キンバリープロセスの成果と問題点

2002年、国連でキンバリープロセス認証制度(Kimberley Process Certification Scheme)が採択されました。

 

キンバリープロセス認証制度(以下、キンバリープロセス)とは、「ダイヤモンドの原石に紛争ダイヤではないことの証明をつけて輸出する仕組み」で、86の国と地域が参加しています。

 

輸出国だけでなく、日本を始めとする輸入する側の参加国も、認証の証明書がついていないダイヤモンド原石は輸入しない、かつ通過もさせない取り決めになっています。

 

キンバリープロセスは、現在では世界のダイヤモンド生産の99.8%の監督することに成功しました。

 

 

一定の成果があったキンバリープロセスですが、「不十分である」という指摘もあります。例えば、以下のような点です。

 

1、「原石」だけが対象

カット・研磨が済んだダイヤモンドについては対象外となっています。

 

2、「反政府組織」だけが対象

腐敗政権がダイヤモンドを紛争や国民に対する暴力の資金源にすることもあり得るにも関わらず、政府側の紛争の資金源になっていた場合は対象外となります。

 

3、「紛争」のみが対象

ダイヤモンドをめぐる問題は、紛争だけではありません。児童労働、労働者に対する暴力や虐待、劣悪で危険な労働環境など、問題は山積みですが、キンバリープロセスは「紛争に関わっていない」以上のことは保証しません。

 

キンバリープロセスは、紛争ダイヤモンドの問題の解決策として評価されるべきですが、採択から23年が経ち、今や「紛争に関わっていないこと」は、ダイヤモンドの前提と言えます。

そのため、「キンバリープロセスをクリアしているからといって、エシカルなダイヤモンドとは一概には言えない」という点に注意が必要です。

 

現在求められるのはもう一歩先の倫理基準です。

 

児童労働は用いられていないのか、労働者の人権が守られているか、周囲コミュニティや環境と調和した採掘を行っているか等、ダイヤモンドが採掘されてから消費者の手に渡るまでの全てにおいて追跡可能で透明性のあるダイヤモンドこそが、現代の「エシカルダイヤモンド」だと言えるでしょう。

 

 

ダイヤモンドをはじめ、ジュエリーワンダーラストが用いているエシカルな宝石についてはこちらからご確認ください。

 

参考文献

Kimberley Process | Ensuring Conflict-Free Diamonds Worldwide

紛争とダイヤモンド | Diamonds For Peace


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