Jewellery Wanderlust

ジュエリーが大好きで、世界中から個人輸入している人のブログ。特にアンティークが好き。

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真珠ブームに乗るか乗らないか、それが問題だ

 

 

今、真珠がアツい

最近、真珠がアツいです。

 

私の個人的なマイブームの話でもあり、世の中のトレンドの話でもあります。トレンドに敏感な方からは「なにを今更」と言われてしまいそうですが、2019年〜2020年頃からのトレンドかと思いますので、今取り上げるのは許容範囲ということでお許しください。流行り始めてからすでに2年ほど経ち、「トレンド」ではなく定番になりつつあるということなのですが、真珠が「定番」なのは正直今に始まったことではないですよね?しかし実は、その真珠の「定番」の形が変わりつつあるんです。

 

真珠と言えば、「冠婚葬祭」、「フォーマル」というのが、長年のイメージでした。しかしそれが近年払拭されようとしています。

 

現在のトレンドの動きは以下の通りです。

 

  1. もっとカジュアルに、日常的に取り入れようとする動き
  2. 男性も真珠を身に着けようという動き

 

日本で最も分かりやすい例が、ミキモトの「My Pearls, My Style」というキャンペーンかと思います。結構話題になりました。

mypearls.mikimoto.com

冨永愛さん、夏木マリさん、桜田通さんなど、様々な年齢や性別の人たちがそれぞれのスタイルで真珠をコーディネートしたポートレイトが載っていて、インタビューも掲載されています。

 

 また、コムデギャルソンとコラボした「パール×チェーン」のネックレスはジェンダーレスで、女性がつけても男性がつけても最高におしゃれです。

cdg.mikimoto.com

 

(私はこちらでミキモトに失望した旨を書いたのですが、それでも養殖真珠を成功させた功績は偉大だと思いますし、引き続き日本を代表する&真珠業界を牽引するジュエラーであると思っています。だからこそ、企業としてのアカウンタビリティを果たして欲しいという想いはそのままです。)

jewellery-wanderlust.com

 

また、日本のみならず世界的にも真珠がトレンドであることは同じで、こちらにも書いた通りです。

jewellery-wanderlust.com

 

ということで、今回は確実に転換期がきている真珠について、考察していきたいと思います。

 

伝統的な真珠のイメージ

真珠というのは古来から大変貴重で、特に権力者を始め多くの人々に愛されてきました(クレオパトラのエピソードは大変有名ですよね)。また、ダイアナ元妃やジャクリーン・ケネディも真珠を愛した有名人です。ジャクリーン・ケネディは、

 

Pearls are always appropriate.

(真珠はどんな場面にも合う。)

 

と言っていたほどです。

 

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出典:ART RICKERBY/TIME LIFE PICTURES/GETTY

真珠のイメージとして、「エレガント」や「クラシカル」ということが挙げられると思います。それは良いことである一方、カジュアル化している現代の生活では使いづらいと嫌厭される原因にもなってしまいました。特に日本では、「冠婚葬祭のために一式は持っておかなくちゃ」、「嫁入り道具として一応買っておこう」という、もはや義務感で真珠を購入したり身につけたりする人も多いのではないでしょうか。

 

↓一般的な真珠のイメージ。

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出典:nina's(YAHOO!JAPANショッピングより)

 

最近の流れ

上で、最近の傾向として、「もっとカジュアルに、日常的に取り入れようとする動き」「男性も真珠を身に着けようという動き」があると言いました。ここでは前者を「カジュアル化」、後者を「メンズ化」と称して考察してみようと思います。

※この記事で「真珠」もしくは「パール」と記載しているものは、天然、養殖、人工の別を問いません。

 

カジュアル化

これまで、よく言えば何にでも合わせやすい、悪く言えばコンサバ一択であった真珠ですが、最近は「カジュアルな服装と合わせられる」、「若者がおしゃれに付けられる」真珠のバリエーションが増えました。例えばこんな例が挙げられます。

 

チェーンとの組み合わせ

ミキモト×コムデギャルソンの数十万円から数百万円するものから、

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(出典:MIKIMOTO)

 

数百円(!)で買える超プチプラまで。

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出典:ZOZOTOWN PayPayモール店 (kutir)

ちなみにこのタイプのクラスプは、最近パールとの組み合わせで死ぬ程みかけますね。下でもまた出てきます。

 

そして、パールと合体していなくても、組み合わせとしてチェーンネックレスとレイヤードするコーデもよく見かけるようになりました。

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出典:2020 Kobunsha Co.,Ltd.

やはりパールという上品なマテリアルをハードな印象のチェーンでカジュアルダウンさせることで、ぐっと付けやすくなりますね。

 

ビーズとの組み合わせ

小粒のパールをビースと組み合わせた、おもちゃっぽいネックレスもよく見ます。夏にぴったりですね!あえて人工パールや、本来の評価でみると価値の低い小粒の淡水パールなどを使って、あくまでデザインを楽しむパールネックレスなので、カジュアルにつけやすくなっています。

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出典:Rays of Light Jewelry

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出典:Jolly Jazz

 

バロックパール

お次は、いびつな形が個性的なバロックパールです。まん丸ではないのでそれだけでカジュアルさが出ますが、ここでもまたチェーンと組み合わせることでぐっとつけやすくしているネックレスをよくみます。

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出典:2018-2028 VINGTAINE(YAHOO!JAPANショッピングより)

 

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出典:Amin by w.a

とってもかわいくて服にも合わせやすそうなのですが、今は誰かと被りやすいデザインでもあります…。

 

チャームが埋め込まれている

そして最近になってよく見るようになったのがこちらです。

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出典:A Girls Gems

これは何と呼ぶのでしょう。他の石やチャームが埋め込まれているパールです。

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出典:A Girls Gems

キャッチーでとても遊び心のあるパールです。

 

メンズ化

男性が真珠をつけるようになった最近のトレンドについて、NYタイムズ記事を見つけました。こちらをもとに、近年の真珠メンズ化の傾向について追っていきたいと思います。

Pearls Are a Boy’s Best Friend - The New York Times

 

ちなみにタイトルの「Pearls are a boy's best friend」は言うまでもなく、マリリン・モンローの「Diamonds are a girl's best friend」のオマージュですね。

 

元々真珠は古来から世界各地で王侯貴族に愛された宝石で、歴史的にも男性が身につけてきました。昔の肖像画を見ると、真珠が権力の象徴であったことがよく分かります。

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出典:Michiel Van Miereveld (1567 - 1641), "George Villers, Duke of Buckingham"

 ですので、近年の真珠を男性がつけると言う風潮は、本来の真珠の身につけ方に戻っただけとも言えます。とはいえ、20世紀以降はやはり「真珠は女性が身につけるもの」として見なされてきたと思います。

 

そんな固定概念を打ち破り、男性がパールをつけることの流行のきっかけとなったのは誰なのか、正確には分からないそうです。しかし個人的には、2019年のMETガラに登場したハリー・スタイルズだろう!と勝手に思っています。

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出典:Andrew Kelly/Reuters

このアイコニックな片耳ピアス!男性がパールを付けるとこんなにセクシーなんだ!と世界中が驚いたことでしょう。中性的な雰囲気が最高におしゃれ。

 

そしてハリー・スタイルズ以外にも、実はヒップホップ界の有名人たちがこぞって真珠を身に着けだしました。Gucci Mane(グッチ・メイン)、Swae Lee(スウェイ・リー)、Future(フューチャー)等々。それまでラッパーが付けるものと言えば、ゴールドのチェーンだったのが、それに取って代わるように、パールのネックレスを身につけるようになったのです。

 

また、同時期にメンズブランドのコレクションでも真珠が見られるようになります。Ryan Roche、ディオールといったブランドのランウェイで、パールを身につけた男性モデルたちが闊歩しました。

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2020年秋のChristian Dior メンズコレクション(出典:Jackie Nickerson/courtesy of Christian Dior

 

男性に特化したパールアイテムというのは特に見られませんむしろ、女性と同じアイテムを男性がつけるからこそ良いのです。

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出典:FASHIONSNAP.COM

一連でも二連でも!

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出典:FASHIONSNAP.COM


もしくは、上で取り上げたようなチェーンとの組み合わせなんかは特に、男性と相性がいいです。

 

あとはもちろん、黒真珠も相性いいですね。

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出典:NIKKEI STYLE

 

真珠のジュエリーは、デザインをメンズ風に工夫しなきゃ!なんてことはなく、真珠そのものが元々ユニセックスなんですね。

 

トレンドの背景にあることは?

 こうした近年の真珠ブームの裏にはどんなことがあるのか、最後に少し考えてみたいと思います。

ジェンダーレス化

「ジェンダーレス化」は、ジュエリーもしくはファッションに限ったことではありませんね。「男はこう、女はこう」といった時代はとうに終わり、今は性別よりも個々人の特性や個性が重要視される時代です。

装飾品を含めファッションというのは、性別を最も顕著に表してきたものだと思います。「女の子しかスカートは履いてはいけない」、「男の子は宝石はつけてはいけない」といった価値観が近代では長い間存在してきました。しかし今、それらが打ち破られようとしています。真珠という、女性性を象徴してきたものが男性によって身につけられるようになったのも、社会全体の「ジェンダーレス化」の流れを汲んでいると言えます。

 

セレブリティ間での流行

上で挙げたハリー・スタイルズはもちろんのこと、他にも多くの男性有名人がパールを愛用しています。

 

デザイナーのマーク・ジェイコブズ。ミキモトのパールを毎日身に付けていると公言しています。

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出典:NICOLAS NEWBOLD

かっこよすぎるだろー!

 

上で挙げたラッパーのASAP Rocky(エイサップ・ロッキー)。

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出典:Jun Sato/WireImage

これまでラッパーたちがつけていた太いゴールドチェーンと同じように、パールネックレスじゃら付けです。最高にかっこいい…!

 

男性有名人たちがこぞってパールを付けるようになったことで、「男性でも真珠ってつけていいのか…!」と気がついた男性たちはきっと多いはず。有名人たちがロールモデルになることで、それが街中の一般男性たちにも広がっていったのではないでしょうか。

 

そして女性有名人ももちろん、多くのパール愛用者がいます。昔のようなフォーマルなつけ方ではなくて、最近のトレンドらしいつけ方をしているジジ・ハディットを取り上げたいと思います。彼女はカジュアルなファッションに、パールをよく身に付けています。

 こちらでは小粒パールのチョーカーを二連に。夏っぽいサイケなTシャツによくマッチします。

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出典:GOTHAM/GC IMAGES

 

こちらも夏にぴったりな「ビーズ×パール×シェル」のネックレス。ピアスもマッチしています。パールでもここまでキャッチーに遊べるという良い例ですね。

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出典:PIERRE SUU/GETTY IMAGES

ちなみにお値段は$128ほど。庶民でも余裕で手が届きます。 

 

このように、これまでとは違った形でパールを身に着けることが影響力のあるセレブリティの間で流行し、それがパパラッチされて多くの一般人の目に留まったことも、近年の真珠ブームの一翼を担ったのだと思います。

 

低価格化

現在の真珠は形や大きさ、質のバリエーションが本当に多いです。「真珠はいいもの(本真珠)を持たなくてはならない」という呪縛から解き放たれて、質よりむしろデザイン性が重視されるようになった最近のトレンドでは、かなりお安いパールが出回っています。淡水パールから人工パールまで、「安価な真珠」の選択肢がたくさんあります。

また、中国で非常に安く養殖真珠が量産されています。人工核を貝に入れてから収穫するまでの期間を短くして、時間をかけずに収穫できるようにします。その分真珠層の厚さ、所謂「巻き」が薄いのですね。「巻き」が薄いということは、「てり」が少ないということです。お安い分、質についてはそういったリスクがありますが、それを理解して納得した上で買う分には問題ありませんよね。

安価であるということは、人々に広く、特に若者の間で流行るためには非常に需要な要素です。

 

 最後に

 クラシカルで超定番ともいえる真珠が「トレンド」というのはなんだか矛盾しているようにきこえますが、「真珠を再解釈する」流れがあるのは事実です。

 

特に「ハイジュエリー vs コスチュームジュエリー」と同じような構造が、今のパールを取り巻くトレンドにもあると思います。分かりやすく言うと、「天然でフローレスなアコヤ真珠を使った正統派ネックレス vs 安価な養殖真珠もしくは人工パールを使ったデザイン性の高いネックレス」のような。もちろん本来の価値から言えば前者が優位なのでしょうが、TPOによっては後者の方がマッチする選択肢だったりもしますよね。

 

粗悪な真珠がはびこっていると言ってしまえばそれまでですが、それによりより多くの人が真珠を楽しむことができているのもまた事実なので、その真珠がどういったものなのかしっかりと理解して納得した上で楽しめれば、それでいいじゃないかと個人的には思います。

 

真珠について考えるべきことは本当に多く、ひとつの記事ではカバーしきれないので、また別の視点でも記事にできればと思います。

 

ところで、タイトルの「真珠ブームに乗るか乗らないか、それが問題だ」ですが、本当に今私が直面している問題です。というのも今、例によって真珠のネックレスの購入を検討しているのですが、欲しいものが2本あるのです。両方アンティークパールなのですが、一方がシードパールで出来たチョーカーです。絶対チェーンネックレスと合わせたら可愛い…。そしてもう一方は6mmほどの珠のロングネックレスです。こちらはクラスプにルビーが付いていてとても美しいのです…。ブームに乗って両方買うか、それとも我慢して1本に絞るか、それが目下私の抱える問題です、笑。