Jewellery Wanderlust

ジュエリーが大好きで、世界中から個人輸入している人のブログ。特にアンティークが好き。

MENU

【おすすめジュエリー本】『アンティーク・ディーラー』石井陽青著

以前こちらで、アンティークジュエリーを独学する時に役に立つ本やウェブサイトをご紹介しました。

 

jewellery-wanderlust.com

 

最近、この記事に加えるべき良書に出会いましたので、本日はその紹介をしてみたいと思います。タイトルはずばり、『アンティーク・ディーラー』です。

 

 

概要

この道20年、銀座・日比谷に店を構える著者が、各国のお宝、ニセモノ事情、鑑定方法までを打ち明ける!世界各地の宝に魅入られた男による驚きの裏話」(Amazonの紹介文より)

 

筆者は、ジュエリーに限らず、骨董品全般を扱っているアンティークディーラーです。10代の頃より、素晴らしいアンティークとの出会いを求めて世界中を旅してきました。本書ではそんな筆者の体験談とともに、各国のアンティーク事情、アンティークの見分け方、アンティーク・ディーラーのなり方などが紹介されています。

 

著者について

この本の著者である石井陽青さんは、1976年埼玉県生まれで、東京の帝国ホテルプラザ東京に「銀座アンティーク・アイ」というお店を持っています。また、英国の美術骨董商協会(LAPADA)の会員でもあるので、文句なしにアンティークの第一人者といえますね。

 

筆者は、古美術品のコレクターであったお父様の影響で、幼い頃から骨董品や美術品に慣れ親しんできたそうです。家には世界中の珍しい置物や、少々グロテスクな剥製なども飾ってあり、友人からは、「アダムス・ファミリー」と呼ばれていたそうな。

 

そんな筆者は高校生の時に読んだ、『深夜特急』(バックパッカーのバイブル!)に憧れ、ネパールなどで仏具などを買っては日本の骨董市で売って、世界一周の資金を稼いだそうです。そして貯まった資金をもとに、大学生で世界中の骨董品を探す旅に出るのです。もうこれだけでわくわくします!

 

おすすめポイント

この本のいいところは、色々あるので以下で挙げていきたいと思います。

アンティークディーラーの裏話がわかる

例えば本書には以下のような見出しがあります。

  • さまざまな業態ー幡師、ラナー、初出し屋
  • 鑑定代はどのくらい?細分化されたプロの世界
  • オークションと業者間取引
  • 盗品とブラックマーケット

うーん、マニアック!しかしアンティーク好きとしては、とっても気になります。こういった話はネットを調べても出てくるものではないので、とても勉強になりました。このように、ただ買っているだけでは知ることができない、ディーラー側の裏事情を知ることができるのです。

 

アンティークの見極め方が具体的に書いてある

第2章が「ものの見極め方」という題で、具体的なアイテム名を挙げて真贋の見極め方を紹介しています。例えば、カメオ、指輪、ジェット、象牙・骨、ジョージアンジュエリー、ガレなどなど。アイテム名だったり手法だったり、素材だったり、レベル感がまちまちなのが若干気になりますが、かなり詳しくチェックポイントを書いてくれています。特に筆者はカメオの専門家だそうで、ストーンカメオとシェルカメオの2部制にする熱の入りようなのです。私はまだカメオにはさほど興味がないのですが、とにかく裏から光を当てて、ヒビを確認するということだけは肝に命じました。

 

世界各地のアンティーク事情を知ることができる

第3章から6章までが世界各地域のアンティーク事情に割かれています。

 

Ⅲ章ヨーロッパ

Ⅳ章アジア

Ⅴ章中東・アフリカ

Ⅵアメリカ・オセアニア

 

いかがですか?見事に五大陸をカバーしていますよね。アンティークの本場はやはりヨーロッパなので、ヨーロッパ、特にイギリスとフランスの情報についてはたくさん出てきますが、その他の地域の情報はかなり貴重です。筆者は世界一周しお宝探しをしていただけあって、各地域に人脈があり、現地での体験談がまた面白いのです。各地の骨董市の特徴などためになる情報から、空港での没収や現地病にかかってしまった話のようなハラハラするものまで、読み物としてとても面白いです。

 

登場するお宝は、仏具や立像、扉など、ジュエリー以外も様々ですが、個人的には各地のアンティークビーズに興味を惹かれました。チベットのジー・ビーズに西アフリカのトンボ玉、マリのアイ・ビーズ、トルコの人面玉などなど。古代や中世は守備範囲外でしたが、これから勉強するのも面白そうです。

 

それにしても、80~90年代はまだまだ掘り出し物も世界中に眠っていて、アンティーク業界も活気があったのだなと、読んでいてよくわかりました。

 

注意点

この本は電子書籍化されています。私は電子書籍を購入したのですが、紙を選ぶか電子書籍を選ぶかで、中身が異なる可能性があるため、最後に少し書いておきます。

 

この本の発行年は2013年です。しかし、電子書籍の最終章は「アンティークの未来」と題して、2019年に書かれているのです。つまり、この章は紙版には含まれていないのでは…?2019年に電子書籍化されて、その際に加筆された章なのではないかと、私は踏んでいます。紙版をお持ちの方がいらっしゃったら、ぜひ教えてください。

 

だからと言って電子書籍版を選ぶべきかと言うと、そうとも一概には言えません。というのも、電子書籍は写真が白黒なのです。本書はあらゆるアンティークの写真が載っています。エジプトの猫のミイラやドゴン族の柱など、興味深いものでいっぱいなのに、色が全く分からない!特に第7章の「アンティークの楽しみ方」では、アンティークジュエリーが特集され、繊細な彫りのカメオから、色が美しいはずのモザイクのブローチ、REGARDのネックレスなど、様々な写真が載っているのですが、色がないので美しさがよく分からない。

 

電子書籍は紙のものより約700円ほどお安いのですが、こうした本で色が分からないというのは、結構致命的です。もちろん私はそれがわかった上で電子書籍を選んだのですが、皆さんは知らずに買ってしまったということのないように注意換気です。

 

最後に

ジュエリーについて有益な本は結構見つかりますが、アンティークジュエリーに特化した勉強になる本は、特に日本語ではなかなか見つけられずにいました。本書は数少ない、アンティークジュエリーについて楽しむながら学べる本だと思います。

 

本書の中で、「アンティーク業界は現在過渡期にある」とありました。アンティーク大国であるイギリスでも、以前は毎日のように開催されていたアンティークフェアは減少し、たくさんあったアンティークセンターもどんどん閉鎖しています。しかしその一方で、中国や中東など購買力をつけた新興国によって、オークション業界は盛況しています。バブル時代に日本人が買い込んだアンティークも、今やそうした国の人の手に渡って海外流出が進んでいるそうです(アンティークは大切に扱って次の世代に引き継げる人のもとにあるべきだと思うので、それ自体はいいと思います)。困るのは、アンティークの持ち主の世代交代が起こって、アンティークを理解しない次の世代がそれを質屋に持ち込んで、これまたアンティークを理解しない業者によって、ジュエリーならば石と金属がバラバラにされて売られてしまうことです。こんなもったいないことはないですよね。

 

筆者は、若い世代が中々入ってこないことにも懸念を示しています。筆者のお店を訪れる人も大体40代以上、中心は50, 60代だそうです。私はまさに若い世代のアンティークジュエリーファンなので、勝手に使命感を感じつつ、これからもどうしたら若い世代でもアンティークジュエリーを楽しめるのか、勉強しながら発信を続けていきたいと思います。

 

↓結果、おすすめです!