Jewellery Wanderlust

ジュエリーが大好きで、世界中から個人輸入している人のブログ。特にアンティークが好き。

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徹底検証!ジュエリーに資産価値はあるのか?

ジュエリーの話になると必ずあがる議題、その一つが「ジュエリーに資産価値はあるのか?」ということです。

 

私事ですが、私の家は圧倒的純金主義です。「金=普遍的な資産」という考え方で、私も姉も子どもの頃からことあるごとに純金のジュエリーを贈られてきました。それは、身につけるためというよりは現金の代わりです。「火事にあって着の身着のまま逃げてきたとして、純金のネックレスがあれば生活を立て直すまでの間食いつなげる。だからこれはいつも身につけておくもの」という超現実主義的な考え方でした。しかし、宝石、ジュエリーとなると、話はまた別ですよね?

 

さて、ジュエリーに資産価値はあるのか。これは色々なところで議論されているので、宝石の専門家たちの様々な意見を紹介していきながら、その真偽について検証していきたいと思います。

 

 

資産価値の定義

まず大切なのは、「資産価値がある」の定義です。こちらによると「資産」とは、「お金に換金できる財産」のことを言います。つまり資産価値のあるジュエリーというのは、売りに出したときに、一定の金額になる、もっと言えば買ったときと同等かそれ以上の値段で売ることができる、ジュエリーと言うことができます。

 

それではさっそく、ジュエリーに資産価値はあるのか、専門家たちの意見をみていきたいと思います。

 

専門家たちの見解

肯定派

まずは日本宝石界の権威である、諏訪恭一さんが書かれているコラムより引用します。

資産、コレクションetc――人が宝石を持つ「4つの動機」 | 富裕層向け資産防衛メディア | 幻冬舎ゴールドオンライン

資産として持つことは、昔から多くの人が実践し、長期的にはその目的が果たされています。

たとえば現在、卸価格が100万円くらいのラウンドブリリアントカットダイヤモンドの中級品質は1900(明治33)年には200円でした。なんと110年あまりで5000倍になっているのです。

他の物価も調べてみると、公務員の給料は約4000倍になっています。これは裏を返せば、宝石の価値が上がったのではなく、貨幣価値が下落したということです。ダイヤモンドの価値は変わらず、インフレに強かったということです。」

 

続いて、同じコラムの別の回より。

投資対象としての「宝石」――資産価値が保たれる理由 | 富裕層向け資産防衛メディア | 幻冬舎ゴールドオンライン

 

常に一定量が売買されているため、価格の安定性が高い
グローバルに見て、宝石の価値は変わりにくいと考えられます。現在、地上にある宝石の98%は世界各地の個人が所有しています。〜、常に一定量が売買されているので、宝石の価値は比較的安定しているのです。

 しかし、19世紀のアメシストのように、ブラジルとロシアから大量に産出して値下がりしたとか、2005年ごろから大粒のダイヤモンドやルビーに金あまりの資金が投入されて、3~4倍に値上がりしたなどの部分的な価値の変動はあります

 また、宝石の取引はドル建てが基本なので、むしろ為替の10~20%の変動がローカル相場を左右することに注意を払う必要もあります。100年単位で見ると宝石の価値が上がったように見えるのは、貨幣価値が下がった結果で、基本的な宝石の価値は変わっていないのです。」

「〜今後は資源の枯渇や環境問題、発展途上国の人件費の高騰が予測されることから、人々が持っている宝石が流通する市場は、これからきちんと整備されると思います。本物の宝石は価値を持ち続けて、今後はさらに盛んに流通していくのでしょう。」

 

ふむふむ、価値が上がるという表現よりは、貨幣や物価の変動を受けても、その価値が変わらないという表現をされていますね。

 

続きまして否定派です。

 

否定派

宝石・宝飾史研究家の山口遼さんが、こちらで見解を語られています。

ジュエリーお買い物学10 「価値あるジュエリー」って実際どんなもの?

 

「〜交換価値のあるジュエリーというのは、非常に難しいのです。

難しいとはいっても、交換価値のあるジュエリーは存在します。その条件や詳細については、〜一般的な宝石店に並んでいるジュエリーで、お客様が希望するような条件で交換できる、買い取ってもらえるジュエリーは99%ありません

理由は簡単です。 一般的に、買取りを持ちかけるのは、売った業者か引取専門の業者でしょう。その場合、業者が買い取るとすれば、それをもう一度売る事ができる場合だけです。つまり、ジュエリーの原価か、それに近い価格で買い取るということです。」

 

また、こちらでは交換価値のあるジュエリーの条件をこのように話されています。

購入後、いい値段で「売れる」ジュエリーとは一体どんなもの?

 

まずは「宝石の品質が一定以上であること」。具体的には以下の通りです。

  • ダイヤモンド、ルビー、サファイア、エメラルドの4種
  • ダイヤモンドの場合はFカラー以上、VVS2以上、3ct以上
  • ルビーの場合は、非加熱で2ct以上

  • サファイアの場合は非加熱で10ct以上

  • エメラルドは、油などの含浸のないもので5ct以上

  • 海外の鑑定・鑑別機関の発行した書類が付いていること

 

そしてもうひとつの条件は、「ごくごく一部の宝飾店の作品であること」だそうです。この「ごくごく一部の宝飾店」とはグランメゾンに代表される、世界的に名声と伝統のあるお店のことですね。

 

こうした条件を総合的に判断して、最後には「普通の人が売ることを前提にジュエリーを買うのは間違い」と断言されています。

 

続きましてもうひとつ否定派の意見として、「宝石ジュエリー大辞典」より引用します。こちらは、JJA(社団法人日本ジュエリー協会)とAGL(宝石鑑別団体協議会)によって制定されよって制定された「宝石もしくは装飾用に供される物質の定義および命名法に関する規定」に基づいている宝石に関する情報サイトです。

宝石ジュエリーの資産価値とは

こちらでも、「宝石を資産価値としてみるならば、決して割の良い商品ではありません。 何故なら有価証券や金などと違い、私達が自由に市場に参加して、買手あるいは売手になる事が出来ないからです。」と、宝石の資産価値については懐疑的です。

 

結論

さて、ここまで肯定意見と否定意見をいくつか取り上げました。実は肯定、否定両方に共通点があったことにお気づきでしょうか。それは、両方とも、「富裕層が買えるような宝石には資産価値を認めている」という点です。

 

一番最初の諏訪さんのコラムの連載タイトルは実は「富裕層のための「良質な宝石」の見極め方」で、あるご夫人が20年前に買った2200万円のペアシェイプのダイヤが、20年後のオークションで全く同じ値段で売れた、というエピソードが紹介されています。2200万円のダイヤですよ!買える人間がどれくらいいるでしょうか。ですので、諏訪さんの「宝石は価値が下がらない」論は前にかっこ書きで、「(富裕層が買えるような)宝石は価値が下がらない」と読まないといけません。

 

これは否定派として取り上げた山口遼さんも同じで、上に箇条書きにしたようなごくわずかなジュエリー(=一般人が買えるようなものではない)を除いては資産価値などないので、普通の一般人は気にする必要がないと、やんわり書かれています。

 

ということで、今回明白となったのは、「富裕層が買えるようジュエリー(数百万、数千万)には一定の資産価値が認められるが、一般庶民が買えるジュエリーに資産価値はない」ということでした。

 

ちなみに、山口さんの方は著書での中で、正しい宝石店の選び方として「資産としての価値があるから買いなさい」や「投資に向いているから買うべきです」といって商品を買わせようとする店はやめなさい、どれも事実ではありません、と書かれているのですが、その根拠がよくわかりました。みなさん、こうした言葉には気をつけてジュエリーを買いましょうね。

 

おまけ:アンティークジュエリーは?

最後に、普通のジュエリーとは価値基準が若干異なると思われるアンティークジュエリーについても書きたいと思います。

 

調べた結果、価値基準が若干異なると言えども、やはり資産とまで言えるものは、上に挙げた現代のジュエリーの条件とあまり変わらないようです(一定の質のダイヤ、エメラルド、サファイア、ルビー、もしくは有名メゾンの限られた作品)。

有名メゾンのサインドピース、サインが入ったジュエリーについて書くと、例えばカルティエ、ヴァンクリーフ&アーペル、ティファニー等々、アンティーク〜ヴィンテージの作品が多々存在していて、高値で取引されています。

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1950年代のヴァンクリーフ&アーペルの作品であるジップネックレス。オークションで約6000万円で落札された。(出典:Sotheby's)

 

本当の意味で資産価値というとやはりこれくらのものになりますが、例えば以下のようなジュエリーくらいならば、サインドピースでもがんばれば手が届きそうですね。

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アンティークティファニーのダイヤリング。1915年に製作されたもの。230万円ほど。(Gatsby Jewellery)

真ん中の二つのダイヤはそれぞれ0.9ctずつあるので、その割にはお買い得のように思えるのですが、散々資産価値レベルのジュエリーを見てしまったからでしょうか。笑

 

最後に 

ということで、私は資産価値を考慮してジュエリーは買っていません。それはアンティークも現在物も共通です。アンティークについては古ければ古くなるほどいいから、今買っておけば将来値段があがると言う人もいるとは思いますが、こちらも庶民が買えるレベルのものは大差なさそうです。どこの記事でも言われていたのは、「ジュエリーの価値として真っ先に挙げられるのは、それを身につけることで生まれる価値」ということです。やはりジュエリーは「身につけてて楽しむもの」なので、資産価値ではなく、あくまで自分の好みに合ったジュエリーをこつこつ集めていきたいなと思います。