Jewellery Wanderlust

ジュエリーが大好きで、世界中から個人輸入している人のブログ。特にアンティークが好き。

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アンティークジュエリーショップは入りづらい?

アンティークジュエリーショップって、敷居高いですよね?正直私はそう思っています。すみません、「敷居高そうに見えて実はそうじゃない」という記事にしたいところですが、そうはなりません

商品の性質上そうならざるをえない、あるいはあえて敷居を高くしているとも言えると思います。今回は、その理由について調べたいと思います。

 

 

敷居が高い理由

まずは私がいちアンティークジュエリーファンとして、「よくみるなー」と思うこと、且つ敷居を上げているように感じることについて。今回は日本のお店海外のお店、実店舗オンライン問わず、思いつく限り書きます。

①来店が予約制

コロナ禍で事前予約必須のお店が増えてきましたが、コロナ禍以前から、アンティークジュエリーショップは事前予約が必要なお店がちらほらありました。必須まではいかなくとも、「事前にご希望の商品をお知らせいただけると、ゆっくりご覧いただけます」的な文言など。ふらっと立ち寄る感じでないと、やはり敷居が高く感じますよね。必ず買わなきゃいけないかもと、少しプレッシャーを感じたり。

 

②こじんまりとしたお店に店主ひとり

これもよくあります。あとにも出てきますが、そもそも大きい店舗のアンティークショップはあまり見ないですよね。シェルマンさんのように東京に何店舗も持っているところもありますが、例外だと思います。あとはイギリスとかの17世紀から続いています、みたいなお店だと大きな店舗を持っていたり。

 

私が以前、前を通ったアンティークショップに意を決して入ろうとしたら、ドアに鍵がかかっていたことがあります。これは、お店の人が一人しかおらず、あいにく裏で作業中で鍵をかけていたためです。その後すぐに気づいてもらえて、中に入れてくれましたが、「ちょっと気になったものがあっただけなのに、わざわざ鍵を開けてまで…」と気後れしました…(親切に試着もさせていただきましたが買わず…)。

 

小さなお店に店主がひとりということは、もれなく店主との会話が発生するので、大きなお店のように、ふらっと立ち寄るということがし辛い原因でもあります。

 

③値段が伏せられている

値段:非公開。値段が知りたい方は問い合わせてください」という記載をウェブサイトでたまに見ます。見るからに高そうな商品はもちろん、割と一般的な値段であろうものでも、このルールを採用しているお店も見ます(主に海外)。例えば以下をご覧下さい。ロンドンのアンティークショップの例です。

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ヴィクトリアン後期からエドワーディアン初期頃の素晴らしいティアラの新着投稿です。少しスクロールすると…

 

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赤丸に「DM me for enquiries」と書いてあるのが見えますよね。「DM(ダイレクトメッセージ)でお問い合わせください」ということです。そしてこの問い合わせで真っ先に想定されるのは「値段」です。ちなみにこのお店は商品によっては、普通に値段が書いてあります。

 

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こちらも同じお店のインスタからですが、この美しいアクアマリンのリングは、2,250ポンドということが明記されています。

 

このように、値段をかいたり書かなかったりの意図について紐解いてみようと思います。

 

値段を書かない理由には以下のような3つがありそうです。

 

①売る側が売りたい相手を選びたい場合

以下は車の例ですが、車の中でもクラシックカーを例に挙げていて、アンティークジュエリーにもかなり通じるところがある気がします。

中古車価格の『ASK』…なぜ価格を表示しないのか?【車ニュース】 | 中古車情報・中古車検索なら【車選びドットコム(車選び.com)】

曰く、

基本的に価格を提示すると、誰にでも売らなくてはなりませんが、お店側は売りたくないと思う場合もあります。それはお客さんの収入だったり、お店のスタイルに合わない、前述の車の価値を本当にわかっている人に乗ってほしい、などいろいろとありますが、そのバッファを残しておきたいのです。

いずれにしても価格を『ASK』にするということは、お店にとっても大切な車であることは間違いありません。大事に長く乗ってくれる人が現れるのを待っているのかもしれませんね。」

 

なるほど〜!これはジュエリーにもあてはまりそうです。

また、もうひとつの理由についても触れられています。それが次の理由です。

 

②競合店に値段を知られたくない場合

これについても同じソースから引用します。

「またもうひとつ、店側のメリットとして挙げられるのが、競合店に価格を知られないという点です。特に希少車の場合だと、全国に数台あるかどうかですから、なかには安く購入して転売したいと考える業者も現れます

しかし『ASK』には、「業販はしませんよ」という暗黙のメッセージが込められていますので、業者からの問い合わせが無くなり、販売側の手間が省けるというメリットもあるのです。」

 

これもなるほどですね!一般消費者には、中々思いつかない視点です。

 

③本気で購入を検討している人だけをふるいにかける場合

3つ目は色々調べていて私が感じることなのですが、冷やかし客を排除する目的もあるように思います。アンティークジュエリーを購入する際、追加で写真を依頼したり、いくつも質問を投げかけたり、高い商品であればあるほど、人は時間と労力をかけて商品を見定めます。つまり、それにつき合う店側も同じだけの時間と労力が取られるということです。散々リクエストに答えたのに、それが最初からあまり買う気のない冷やかしだった場合、店側は損をすることになります。そうした事態を避けるためにも、値段を問い合わせ制にすることで、ある種、お客さんをフィルターにかけているのではないかなと思います。

 

敷居が高くならざるを得ない背景

さて、上で書いたことが少し愚痴のよう聞こえたかもしれませんが、実際そうではありません。私はアンティークジュエリーショップは敷居が高くて当然だと思っていますし、そうあるべきだとも思っています。なぜならばその背景には以下のようなことがあると考えているからです。

①扱っている商品が高額

まず最初に挙げられる理由がこれです。日用品とは違い、商品の単価が最低でも数万円からです。上は数百万円、数千万円、もしかしたら億単位のものを扱っているお店もあるかもしれません(もはやオークションレベルですが)。セキュリティの問題から、間口を広く開けて(=店や商品の情報を広く開示して)「誰でも大歓迎!」とすることは難しいですし、適切ではありません。

 

②一点物を扱っている

大量生産の商品と違って、アンティークショップに並ぶ商品はもちろん一点物です。その商品が売れてしまえば、後から何人にそれが欲しいと言われても売ることはできません。もちろん似たものを探して、手に入ったら次の人に売るということはできますが。同じものを大量生産出来る商品の場合、とにかくお客さんを呼び込んで買ってもらうことで利益が上がりますが、アンティークジュエリーの場合は在庫の確保が簡単ではないので、お客さんが来れば来るほど儲かるというわけでもありません。客が来すぎても困る、という特殊な商材です。

 

③スモールビジネス

アンティークに限らず、ジュエリー業界には所謂大企業が存在しません。アメリカには年商が1千億を超える企業があるそうですが、これも数百億円単位の小売り部門の連合に過ぎないそうです(ティファニーなどですね)。最大企業のシェアですら、市場の4%以下に過ぎないというのは、他の業界ではあまりみられないことです。日本の宝石店にしても、そのほとんどがファミリービジネス、つまり家業です。

(ソースは全て『ジュエリーの世界史』 山口遼 著)

 

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スモールビジネスということは、人手を始め、ビジネスリソースが限られているということです。そうした中では、冷やかし目的の人にかけている時間や労働力の余裕がありません。そのため、より購買意欲の高い人に絞って商売をするというが賢明になります。

 

以上のことから、アンティークジュエリーショップは他の商品を扱っているお店と違って、「広く浅くリーチする」というアプローチが有効ではありません。むしろ、「狭く深く」の方が店側にとっても安全で効率が良いのです。商売のスタンスとして、「本当に理解のある人、買う気のある人一点集中狙い」といえるかもしれません。

 

 

ではどうしたらいいの?

答えは簡単です。勇気をだしてお店を尋ねてみればいいのです(解決策になっているか分かりませんが…)。今すぐ買えるわけでなくても、たくさん買えるわけではなくても、本当にアンティークジュエリーに興味があることを分かってもらえれば、お店側としても潜在的な顧客として扱ってくれるはずです。アンティークジュエリーというニッチな商売上、ただものを売るだけでなく、初心者にアンティークジュエリーについての手ほどきをし、いわば「啓発」していかなければ、買い手がどんどんいなくなって将来的に自分たちの首がしまるということを、良識のあるアンティークディーラーの皆さんはもちろん理解しています。業界人でもない私がこう書くのはおこがましいのですが、お店の迷惑にならない程度に色々なものを見せてもらったり教えてもらったりしながら自分の審美眼を養いつつ、気に入ったものがあれば無理のない範囲でたまに購入する、という持ちつ持たれつの関係になれればベストなのではないでしょうか。