Jewellery Wanderlust

ジュエリーが大好きで、世界中から個人輸入している人のブログ。特にアンティークが好き。

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ラボグロウン?モアサナイト?Sonaダイヤ?

前回に引き続き、今回も少しエシカルな選択肢のお話を。

 

jewellerywanderlust.hatenablog.com

 

 

 

「サステイナブルなダイヤ」という選択

エシカルジュエリーという言葉が聞かれて久しいと前回書きましたが、ラボグロウンダイヤモンドやモアサナイトはどうでしょう?天然のダイヤがに鉱山から採掘されるのに対し、これらの石は人工的に作り出されるものです。つまり採掘にかかる環境汚染や人権侵害のリスクがないため、特にエシックに敏感な若い世代を中心に、天然ダイヤの代わりに選ばれています(もちろんお財布に優しいというのも大きな要因です)。2019年にイギリスのメーガン妃が、ラボグロウンダイヤのピアスを着用したことはかなり話題にもなりました。業界の拡大スピードは凄まじく、年間15~20%もの成長率になります。

The sparkling rise of the lab grown diamond - BBC Future

 

ダイヤモンド界の巨人、デビアス社すらも参入しました。ダイヤを婚約指輪の定番にし、世界中の採掘、加工、流通、販売にいたるまで市場を独占してダイヤモンド業界を長年牽引してきたデビアス社のこの発表に、業界には結構な衝撃が走りました。

デビアスの合成ダイヤモンド、2018JCKショーで困惑を招く

  

そんな、今後避けては通れないラボグロウンダイヤモンドやモアサナイトですが、天然ダイヤモンドと比べて、それぞれの石の違いと魅力は何なのか探っていきたいと思います。今回の情報のソースは主に以下の記事です。(その他のソースから引用する際は別途記載します。)

www.diamonds.pro

※調べる過程で判明しましたが、ラボグロウンダイヤモンドは奥が深すぎてカバーすべきトピックが多いので別記事を作ることにしました。ここではとにかく天然と比べて、見た目、性質、価格がどうなのかに焦点を当てます。

 

1、ラボグロウンダイヤモンド(Lab-grown diamonds)

性質

Lab-created diamondsという呼称もありますが、つまりは「人の手で作り出されたダイヤモンド」のことを指しています。特筆すべきは、天然ダイヤと完全に化学式が同じということです。よってブリリアンス、ファイア、硬度などなどもっている性質も天然ダイアとまるで同じです。つまりは見た目も全く同じ。プロであっても特別な機器がなければ見分けることはできません。では一体、なにが違うのでしょう?ラボグロウンが天然と違うのは、生み出された場所生成されるまでの期間、そして私たちに取って超重要かつ決定的な天然ダイアとの違いがあります。そう、、、価格です。

 

価格

この価格というのが少々トリッキーです。一言で言うと、ラボグロウンダイヤモンドの価格は安定していません。年々下がっています。ここを掘り下げるとかなり長くなるので、別記事で考察しますね。とりあえず最新の価格を比較するため、実際に販売されているダイヤで比較してみましょう。アメリカのダイアモンドオンライン販売サイト「James Allen」で、同じクオリティの天然とラボグロウンをそれぞれ検索してみます。

【検索条件】

シェイプ:ラウンド

カラー:F

クラリティ:VS1

カラット:1.0~1.05

カット:True Hearts 

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出典:James Allen


まずは天然から↓

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天然ダイア(出典:James Allen)

条件に合ったダイアは3つ、1ctぴったりの石はなかったので3つの平均を出してみます。価格の平均は$8,677です。

 

続きましてラボグロウン↓

 

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ラボグロウンダイア(出典:James Allen)

条件に合ったのは16個。こちらは1ctぴったりの石が3つあり、すべて同じ$2,460です。
 

ということで、2021年2月現在、ラボグロウンダイヤの価格は天然ダイヤの20~30%程度の値段ということになります。や、安い…!

余談ですが、和訳はカタカナで「ラボグロウン」と書くのが一般的なようですね。何か上手い和訳が今後見つかりますように…書くのが面倒くさい。笑

 

2、モアサナイト(Moissanite)

性質

①のラボグロウンダイヤモンドとは異なり、モアサナイトはダイヤモンドではありません。ダイヤモンドとは化学式が異なるということです。モアサナイトという全く別の石で、自然界にも存在しますが市場に出回るモアサナイトはまず人工です。ダイヤではないにも関わらず、なぜ多くの人が天然ダイヤの代用としてモアサナイトを選ぶのでしょうか。それはダイヤより輝くその見た目と、従来のダイヤモンドテスターが「ダイヤ」と判定してしまうほどダイヤとほとんど同じ、もっと言えばダイヤにも勝るその性質にあります。あのダイヤモンドの権威GIAが「それまであったどんなイミテーションダイヤモンドよりも全体的な見た目や重さがダイヤに近い」と、認めているのです。

Synthetic Moissanite: A New Diamond Substitute | Gems & Gemology

 

では天然と性質を比較してみましょう。

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出典:Joy of London Jewels(筆者和訳)

 

ご覧の通り、モース硬度以外はダイヤを上回る結果です。硬度ですら9.3なので遜色なしです。

 

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ファイアがすごい!(出典:CHARLES & COLVARD)
価格

さて、ここで気になるお値段です。

ラウンド、Iカラー、VS2クラリティ、1カラットの天然ダイヤとの比較があります。

Diamonds vs Moissanite | Color, Brilliance, Hardness & Price

天然ダイヤが$4,000+に対し、同カラーのモアッサナイトは$539という結果でした。天然はもちろん、ラボグロウンと比較しても圧倒的に安い!

最後に、モアサナイトは天然ダイヤの代用として選ばれるのはその通りなのですが、ダイヤとは全く別の石のため「合成ダイヤモンド」ではありません。たまにモアサナイトを「ダイヤの偽物」のように紹介する記事があるのですが、「モアサナイトに失礼だろうが!」という憤りでいっぱいになります…。

 

さて、ここまでサステイナブルな選択肢として近年注目される、ラボグロウンダイヤモンドとモアサナイトをみてきました。知れば知るほど良いことしかなさそうですが、それもまだ天然ダイヤが選ばれることの方が多いですよね。その理由を知るには「人がダイヤに何を求めているのか」、という点を考える必要があります。答えはもちろん複数考えられるのですが、ダイヤというか宝石全般に言えることは、選ぶ際に最も考慮されるべきは「それを着ける人の気持ち」ということです。見た目の美しさだけでなく、「何億年もかけて奇跡的に生み出された」とか、「自分や自分の大切な人ががんばって手に入れた」だとか、やはり「高価で貴重なもの」からしか得られない感情もあります。

その一方で、人の手によって生み出されたラボグロウンダイヤモンドおよびモアサナイトはいわば人類の英知です。人工というと容易に作れるかのように錯覚しますが、これらが生み出されるまでにテクノロジーの発展があり、同じ人工石でも初期は出来の悪いものしか生み出せませんでした。天然と遜色のないものが出来上がるようになるまでには長い道のりと、科学者たちの不断の努力があります。そうした背景を知れば人工石にもストーリーを感じることだってできます。

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「合成ダイヤモンド開発の初期にGeneral Electric社によって製造された合成ダイヤモンドは、高級ジュエリーに使用するには小さ過ぎる、ブラウニッシュ イエローの石だった。」(出典:GIA)

 

どちらを選ぶかは、個人の好みとオケージョンで使い分けるというのが、一番賢い選択なのでは、と調べた結果私は結論づけました。

 

おまけ Sonaダイヤモンド

Sonaダイヤというのも最近聞いたことがありませんか?お求めやすいジュエリーに使われているのをよくみます。「ダイヤモンド」とは付きますが、お値段からしてダイヤでないことは明白。しかし日本語で調べてみるとかなりミスリーディングな記述が多いように思います。英語で調べても信用に足る情報が少ないようなのですが、とりあえずSonaダイヤを取り扱っている業者さんのHPやブログから情報を得たいと思います。

まずはこちら。

Sona Diamond - Consumer Ranked #1 In The World | Sona Diamond Custom Jewelry The world’s highest quality man made diamonds

"Each lab diamond created by Sona Diamond has natural diamond crystals infused in the core of the stone creating a real diamond outer layer."

「Sona diamondによって作られる人工石は、石の核に天然ダイヤの結晶が吹き付けられることで、外層が本物のダイヤと同じとなる。」

Sonaダイアは合成ダイヤのうちの一つで、「Sona Diamond」というのは商標ということですかね。

 

続いて日本のこちら。

モアサナイト?sonaダイヤモンド?人工ダイヤモンド? …ダイヤモンドに似た宝石たちについて | Bijoux de Mimi - エシカルジュエリー専門店

「Sonaダイヤモンドはキュービックジルコニアの一種ですが、不思議なことに、比較にならないほど美しく輝きます。その秘密は、キュービックジルコニアをダイヤモンド物質でコーティングしているから。」

 

ということで、Sonaダイアモンドとは「外層は本物のダイアで核はCZ(キュービックジルコニア)」ということですね。以下は天然ダイヤとの性質比較です。

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出典:Joy of London Jewels(筆者和訳)

Sonaダイヤはダイヤではないので、もちろんこうして数字にすれば天然ダイヤに負けますが、それでも人の目には天然ダイヤと同等の輝きです。圧倒的な価格の安さをみれば全然ありです。ただし、核はあくまでCZですので、ダイヤのように長持ちはしません。その点だけご注意を。

 

今回はここで終わりますが、冒頭でも書いた通り、ラボグロウンダイヤについてはかなり掘り下げる必要があると判明したので、また別の記事にしますね。かなり時間かかりそうですが…。